愛は名もなき日常の中に

 

 

笑ったり泣いたり怒ったり、

暑かったり寒かったり、

目まぐるしくてぶっ倒れそうで

誰かのことを

何かのことを

好きになったり嫌いになったり。

 

記念日でもない、名もなき日。

一年の大半がそんな毎日。

そんな日々でも確かに何かはある。

でもいつかそのほとんどを忘れてしまう。

 

忘れられなくなったこと、

忘れたくないこと、

記憶の点つなぎでおぼろげに

感情の形が見える。

点になれなかった君たちはどこへいくの。

 

しなきゃいけないことは沢山あって、

一つの出来事に、

一つの感情に、

とどまってはいられないから

口の中の食物を水で流し込むように

心の中の感情を流し込むけど、

流し込まれた君たちはどこへいくの。

 

名前を無くした者たちが、

ふと訪れた場所や

聞こえた音や

漂った匂いや

目に留めた文章、絵画をきっかけに、

思い出してと光り出したり

騒ぎ出したり痛み出したら

どうすればいいの。

 

 

一瞬暗闇で光った星たちも

広大な宇宙空間の中に

長らく存在していたとしたら、

 

心に刺さった一文は

無数の文字たちの上に

成り立っているとしたら、

 

思わぬところで受け取った愛情も

声にならなかった感情たちの

積み重ねで現れたとしたら、

 

 

名前のない世界へ旅立った

君に何ができるだろう 。