誰かの息遣いという意味のブレス
ブレスの感想です。私が感じたテーマは主に3つ。
①世間的に良いと思われる一面だけで人間は生きていけないということ(それを受け入れること)
②一歩進むことの必要性
③一人きりではないということ
メインテーマが①,②で、③は一切言葉にされていないけど音に仕掛けられている感じ。あえて言葉にしないことで、①②がちゃんと映えるのかなと。音楽っていいなとこういうときに思う。
この3つの軸で思ったことを書いてみます。
①世間的に良いと思われる一面だけで
人間は生きていけないということ
(それを受け入れること)
・人間の中にある要素とその比喩になる反対語の並列(ポジティブとネガティブなど)
・肯定の言葉(君はもう十分頑張っている など)
の二つでこのテーマが成り立っているのは明白なので細かく書かないけど、レトリックとして、最後のたたみかけ倒置法比喩がおもしろいと思った。
「晴れた日も雨の日もあるように」
「朝と夜が今日も巡っていくように」
「出会いとさよなら繰り返す旅人のように」
って終わる。終わっちゃう。
「旅人のように」なんなんだ。
たぶん順番的に通じるようにしたらこうだと思う。
「晴れた日も雨の日もあるように
朝と夜が今日も巡っていくように
出会いとさよなら繰り返す旅人のように
メロディは音符と休符が作る
ブレスの出来ない歌は誰も歌えやしない」
しっくりこないけど。最後にたたみかけられると説得力があるのはどうしてなんだろう。
晴一先生、どうしてなんでしょうか。
②一歩進むことの必要性
二番が自分の道を行きなさい、未来は迎えには来ないけど待ってるよってメッセージなので、ちゃんと自分の足で歩けって言ってくれるところがポルノっぽくて好き。
ポルノらしさってなんだろうと考えたときに、そのひとつとして背中の押し方のことを書いたけど、今回も当てはまってると思うんですがどうでしょう?
③一人きりではないということ
「ブレスのできない歌は誰も歌えやしない」って歌詞からタイトルが来ているはずだけど、誰かのブレスでもあるのかなと思う点がいくつかあった。
・鳥の鳴き声のようなイントロの一番初めのギターの音
・サビ前の軽いパーカッションの音
→「何か変えろと迫られ」の後や「壮大な旅の途中さ」のバックなど
・間奏の声のような音
・最後の子供たちのコーラス
全部音なものだから、伝わるか不安だけど、ここに挙げたものは、聴き手でもストーリーテラーの昭仁さんでもない誰かの気配や息遣いだと思う。気がする。
①,②で示した、聴いてる人をまるごと肯定してくれて、一歩進む勇気をくれる歌っていうのがメインテーマだと思うけど、それを支えるポイントのひとつに、見守ってくれている誰かの息遣いが聞こえる。言葉にされてないから、本当のところ、そういう意図を持って作られたかは正直わからないけど。
もしこれもテーマのひとつだったなら、ポケモンの映画のコピーになっている「一人じゃできないこともキミとなら」とうまくつながっていると思う。
どんなに自分は一人だと思ってても、たった一人の力では生きるのは出来なくて、そこにはキミの力が必要なんだよって隠れたメッセージ。
でもそこを文字通り「一人じゃない」とは一言も発していないのがメインテーマを潰さない工夫なのかなと思う。
そんな感じです。
他の曲聴くと頭いっぱいになると思って書き終えるまで聴けなかったけど楽しみ!
ライラ!海月!ロッキン!
(たたみかけてみた)